遺産分割調停を不利にせずに進める方法はある?弁護士が解説
亡くなった方(被相続人)の遺産について、相続人同士の話し合いがまとまらない場合、「遺産分割調停」を利用して解決を図ることがあります。
しかし、「遺産分割調停とは何なのか」「どのように進めればよいのか」「自分に不利にならないか」など不安を感じる方も多いでしょう。
本記事では、遺産分割調停の仕組みや流れ、そして調停を進めるためのポイントについて、弁護士が解説します。
目次
そもそも遺産分割調停とは?
「遺産分割調停」とは、家庭裁判所において相続人全員が被相続人の遺産をどのように分けるのかついて話し合い合意および成立を目指す手続きです。
「調停委員」が間に入り、相続人の話し合いを推進します。
当事者同士だけでは感情的になりがちな議論も、中立的な第三者が入ることで冷静に進めることが多くなり、円満な解決につながるケースが多くあります。
もっとも、調停は、あくまで「話し合い」であるため、全員が合意して初めて成立します。
もし合意に至らなかった場合は、裁判官が決定を下す「審判」手続きに移行します。
審判手続きは、調停のような話し合いではなく、裁判でいう判決のような裁判官が判断を下す手続きとなります。
遺産分割調停の流れ
調停は、大まかに以下の5つのステップで進行します。
調停申立て
原則相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。
相手の住所地になるので注意が必要です。
呼出し・書類提出
裁判所から話し合いをする日程調整の通知が届き、書面や証拠書類の提出が求められます。
調停期日(話し合い)
月に1回程度、家庭裁判所の調停室で行われます。通常、当事者は別々に調停室へ呼ばれ、調停委員と話をします。
調停成立
合意に至れば「調停調書」が作成され、その内容通りに遺産の分割を行います。
※不成立の場合:相続人の誰かが合意できないとなれば、調停は不成立となり、「審判」へ移行します。
調停までに整理しておくべきこと
調停委員は、解決に向けて様々な質問をします。
そのため、ご自身の主張を正しく伝えるために、以下の4点を事前に整理しておきましょう。
調停申立てに至った経緯
「これまでどのような話し合いが行われたのか」や「どのような点で揉めているのか」などの時系列や争点を整理しておくのが便利です。
相続財産の内容
相続財産は、預貯金や不動産、株などのプラスの財産だけでなく、借金なそのマイナスの財産も含まれます。被相続人の財産はなにがあるのかについて、目録などを作成し、関連資料と共に提出します。
特に不動産は、立地・現在の価値・誰が管理しているかなどを詳しく説明できるよう準備が必要です。
相続を希望する遺産
「どの遺産を」「なぜ取得したいのか」、明確な理由とともに希望を伝えられるようにしておきましょう。
考慮してほしい事情(特別受益・寄与分)
法定相続分を修正すべき事情がある場合は、具体的な主張が必要です。
• 特別受益:生前贈与など、特定の相続人が受けた利益
• 寄与分:被相続人の財産の維持・増加に対する特別な貢献
以上を主張する場合、「特定の相続人は被相続人の生前に100万円もらっているから、相続分から差し引かれるべきである」、「私は被相続人の介護をしていたのだから、他の相続人より相続分を増やしてもらう必要がある」などの事情を説明する必要があります。
調停を円滑に進めるためのポイント
調停期日を理由なく欠席しない。
無断欠席は調停委員の心証を悪くするだけでなく、こちらの希望を伝える機会を失います。
調停が不成立になり、審判に移行した際に適切な主張が出来ていないと不利益になる可能性があります。
虚偽事実を伝えない
ありもしない話をしたり、嘘をついたりすることで、調停員からの信頼を失い、説得力もなくなります。
不利な事情であっても正直に答える誠実さが重要です。
法的根拠に基づいた主張をする
「ずるい」「許せない」といった感情論ではなく、法律上のルール(法定相続分、特別受益など)に沿った主張を行うことで、調停委員の理解を得やすくなります。
適切な証拠資料を提出する
例えば、生前贈与・寄与分を主張する場合、これらを裏付ける客観的な証拠資料を準備しましょう。
相手方の主張も考慮し、着地点を探る
「どうしても譲れない点」と「譲歩できる点」を明確にし、早期解決を目指します。
専門家(弁護士)に依頼する
法的根拠の構成や証拠の選定は専門知識を要します。弁護士のサポートを受けることが、有利な解決への近道です。
遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット
調停はご自身で進めることも可能ですが、弁護士に依頼することで以下のような利点があります。
• 書面の作成代行:法的根拠に基づいた説得力のある書面を作成します。
• 証拠収集のサポート:必要な証拠の選別や収集方法のアドバイスをします。
• 調停委員への対応:代理人として同席し、感情論争になることを防ぎ、冷静に主張を伝えます。
• 不利な状況の回避:法的根拠に基づいて主張することで、不利な状況になることを防ぎます。
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