相続問題を弁護士に相談するメリット・タイミング
目次
いつ(どのタイミングで)相談すべきか
相続の相談を弁護士に相談するタイミングについて、
- 「弁護士に相談すると、そのまま依頼をしないといけない・・・」
- 「弁護士に相談するのは、調停や裁判になってしまったとき・・・」
このようなイメージをお持ちではありませんか?しかし、そのご心配は不要です。
弁護士は、調停や裁判などの司法手続に対応できる唯一の資格者ですが、一方でご依頼者様の代理人として、双方の利害を調整し、話し合いによる解決を目指すという方法もあります。
そのため、弁護士に相談したから必ず法廷紛争となるということはありません。また、当然、ご相談いただいた場合に必ず依頼をしなくてはならないということもありません。アドバイスをさせていただくだけの法律相談も可能です。
ですので、
- 「他の相続人と考え方が合わない」
- 「話し合いが進まない」
と感じたときが、最初のご相談のタイミングといえます。
過去の事例として、「他の相続人の主張が法的に妥当なのか知りたい」という方がご相談にお越しになり、法律相談後、弁護士の見解を他の相続人に伝えたところ、すんなり解決に至ったということがありました。
一般に相談をしたほうがいいタイミングの例として、以下のようなシチュエーションが考えられます。
- ① 他の相続人との仲が悪い、相性が悪いと感じているとき
- ② 他の相続人の連絡先が分からないとき
- ③ 他の相続人が返事をくれないとき(もしくは何を考えているのかわからないとき)
- ④ 他の相続人が自分抜きで、勝手に遺産分けの話を進めていると感じるとき
- ⑤ 予想していたよりも明らかに遺産の額が少ないとき
- ⑥ 遺言があると聞いていたが出てこないとき(もしくは、聞いていた話と違う内容の遺言が出てきたとき)
一方で、下記のような相談事例に関しては、弁護士でもご希望に沿う解決が困難な場合がありますので、参考にしていただければと思います。
- 相続人の一人が、生前贈与を受けているはずだが、資料が全くない。
- 他の相続人に財産を渡したくなく、全てを相続したいとの希望で特に法的根拠がない。
- 有効と考えられる遺言を向こうにして欲しい。
誰に相談すべきか?
インターネットで相続の専門家をお探しの方は、法律事務所だけでなく、司法書士や行政書士、税理士事務所なども、相続問題を取り扱っておられるため、それぞれどのような分野を業務領域としているのか、分かりにくいと感じておられるのではないでしょうか?
士業は国家資格ですので、法律で、どの士業が何を行うことができ、何を行うことができないのかが定められています。下の表は、各士業の業務領域をまとめたものです。
項目 |
弁護士 |
司法書士 |
行政書士 |
税理士 |
相続調査 |
○ |
○ |
○ |
○ |
遺産分割協議書作成 |
○ |
○ |
○ |
○※1 |
代理人として交渉 |
○ |
|||
調停 |
○ |
|||
審判・訴訟 |
○ |
|||
相続登記 |
○ |
|||
相続税申告 |
△※2 |
○ |
※1 実際には、税理士が、遺言書・遺産分割協議書の作成に関与していることが多くありますが、税理士が実質的に書類を作成し助言すること・代理することは、弁護士法等に抵触する可能性があります。
※2 弁護士法3条2項は「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と規定していますが、「弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。」(税理士法51条1項)との規定があるため、実際に相続税申告手続を代理したり、税務調査に代理人として立ち会うためには、上記「通知」を行って、いわゆる「通知税理士」になることが必要です。
上記の業務領域を把握されたうえで、それでも「相続問題は弁護士に相談するべき」理由とは何でしょうか?
⑴ 司法書士や弁護士ではなく弁護士に相談すべき場合
司法書士は、不動産の名義変更(登記手続き)を行います。また、遺産分割協議書の作成も可能です。しかし、司法書士は、相続人間の利害の調整(例えば遺産分割協議)には関与できず、当事者の代理人として行動することもできません。
また、税理士の場合は、相続税申告、準確定申告などの税務申告業務を行いますが、司法書士と同様、相続人間の利害の調整には関与できません。当事者の代理人として行動することもできません。
つまり、揉めているケースでは司法書士や税理士は、相続人の間に入って関与することができません。端的に申しますと、揉めているケースは、必ず相談者としては弁護士を選ぶべきです。
⑵ 弁護士に相談すべき理由
弁護士は、他の資格業と異なり、依頼者の代理人として他の相続人と交渉、調停等を行う専門家です。また、あくまでも依頼者していただいた方の代理人ですので、依頼者の正当な利益を最優先して紛争解決にあたります。
そして、弁護士は、相続に関する交渉・調停など、いずれの経験も豊富です。相続の問題は、まず弁護士にご相談いただければ、全体的・大局的な視点を踏まえてアドバイスさせていただきます。
また、当事務所では、必要に応じて、司法書士や税理士等の他の専門家をご紹介することも可能です。相続開始直後、全員の意見が出揃わない段階では、すんなりと話がまとまるのか、そうでないのかは、誰にもわかりません。
万が一紛争化した場合も考えて、まず弁護士にご相談されるのが最も安心であると考えております。特に、紛争を望まない方には、できるだけ早期にご相談いただければ、最適なプランをご一緒に考えさせていただきます。
どの弁護士に相談すべきか?(相続問題における弁護士選びのポイント)
相続分野は、不動産、預貯金、証券など多岐にわたる財産的な論点があります。また、人間関係も複雑に絡み合ってきます。そのため、相続事件を数多く解決した弁護士には様々な事件に対応できるノウハウがある一方で、経験の少ない事務所では依頼者の方にとって、最善の提案ができないおそれがあります。
また、場合によっては無用に紛争を拡大させ、解決まで多くの時間を費やすおそれもあります。当事務所の弁護士は、10年以上のキャリアを持ち、通算で100件以上のご相談をお受けし、毎年継続的に相続に関連する事件を受任して解決しております。
また、相続に関する問題は、戸籍の収集、預金履歴の調査、不動産登記の調査など、事務作業も膨大です。そのため、弁護士だけでなく、複数人の事務局がいる事務所の方が解決までの時間が早くなる傾向にあると思います。
当事務所は、相続事件の経験豊富な弁護士、事務局がおりますので、ご安心してご相談ください。