高知県・高知市で相続・遺産分割の相談をしたい方は、藤宗本澤法律事務所にご相談ください。専用駐車場完備

対面・オンライン
法律相談可能
電話受付:平日9時~17時30分 メール、LINE24時間
088-855-5742
LINEでの
お問い合わせ
問い合わせ
フォーム

遺産分割協議における特別受益と遺留分との違い ― 高知県でよくある争いを踏まえて

相続では、一部の相続人が生前に贈与や遺贈を受けていることがあります。こうした場合に公平を保つため、「特別受益」という制度により、その受けた財産を加味して相続分を計算し直す仕組み が設けられています。

例えば、親が子どもの一人に住宅購入資金を援助したり、事業の開業資金を渡したりしていた場合には、その贈与が特別受益に当たるかどうかが問題となります。

この記事では、

  • 遺産分割協議における特別受益の仕組み
  • 遺留分の場合の特別受益との違い
  • 高知県に多い特別受益が争われる場合や対策
    について解説します。

特別受益とは?

特別受益とは、共同相続人の一部が被相続人から遺贈や生前贈与を受けていた場合に、その分を遺産に加算(持戻し)して公平を図る制度です。

特別受益の代表例

  • 遺贈(遺言による財産の譲渡)
  • 生前贈与
  •  婚姻や養子縁組に伴う支度金や持参金
    • 居住用不動産や営業資金など「生計の資本」となる贈与
    • 高額な金銭の贈与
    • 債務の肩代わり(求償権放棄が認められる場合)

特別受益に当たらないもの

  • 親として通常の範囲にとどまる援助(祝い金や生活費の補助など)
  • 少額の贈与(ただし、長期的に多額となれば対象になることもあります)

算定方法

相続財産に特別受益を加えた「みなし相続財産」を基に相続分を計算し、特別受益を受けた相続人からその額を控除することで具体的相続分を確定します。

遺留分の場合の特別受益との違い

遺産分割と遺留分では、特別受益に含まれる贈与の範囲や期間が異なります。

  • 遺産分割

  • 原則として期間制限なし
  • 遺留分

  • 相続人以外への贈与相続開始前1年以内
    • 相続人への贈与相続開始前10年以内で特別受益に当たるもの

つまり、簡単に説明すると、遺産分割では原則として生前贈与等の特別受益の時期に制限がないですが、遺留分の場合は時期に制限があります。

よって、遺産分割における特別受益は、かなり過去のものであっても特別受益として主張できますし、主張されることになります。

高知県における特別受益をめぐる特徴的な事情

高知県では、相続人の一部が被相続人と同居・近隣に住み、他の相続人は県外に住んでいるケースが多く見られます。

そのため、次のような問題が起こりやすい傾向があります。

  • 同居相続人への偏った贈与
  • 県外相続人との情報格差
  • 実務で問題となる贈与の背景
  • 親の意思による贈与

    親が世話をしてくれた近隣にいる相続人に特別に生前贈与を行うというケースは多々あります。

    世話や介護をしてくれた相続人に優遇したいという気持ちは通常のもので、非常に理解できるものです。

    もっとも、正当な贈与であっても特別受益の主張はされます。

    実際に、県外の相続人が逆恨みをし、紛争が長期化することも多々あります。

    • 囲い込みによる贈与

    一方で、近隣に住む相続人が親を囲い込み、他の相続人を遠ざけたうえで半ば強引に贈与をさせる事例もあります。

    この場合は贈与の有効性が問題となることもあります。

    また、親としても近隣に住んでいる相続人に意見することができず、渋々生前贈与をしてしまっているという事例も多々あります。

    生前の対策の重要性

    特別受益をめぐる紛争は、生前の対策が重要です。

    • 親の意思による正当な贈与の場合
    • 考えられる対策は遺言によるものです。

    遺言でも遺留分の問題は生じますが、公正証書遺言などで意思を明確にしておくことが有効です。

    また、遺留分における特別受益には時間的制限がありますので、長期間の話にはなりますが、10年スパンの計画で生前贈与を行えば、特別受益の問題が生じなくなることもあります。

    なお、遺言は判断能力が存在するうちにしておく必要があります。

    そのため、認知症の進行があり得る場合は、早めの対策が必要となります。

    • 囲い込みの恐れがある場合
    • 県外の相続人が、親に直接ヒアリングを行って意思の確認をすべきです。

    特に、遠方にいらっしゃる相続人の方は、実際の生活や関係性が分からないというケースもあります。

    囲い込みや財産を費消されてしまっていることが疑われる場合は、頻繁に親の顔を見に行き、実情を確認することが大切です。

    そのうえで、判断能力が存在するうちは公正証書による任意後見契約などを検討します。

    もし判断能力が存在しない場合は、成年後見制度の活用を検討すべきです。

    まとめ

    • 特別受益は遺産分割の公平を図るための制度であり、遺留分の場合とは範囲や期間が異なります。
    • 高知県では、近隣相続人と県外相続人の立場の違いから、特別受益をめぐる争いが生じることが多いです。
    • 親の意思による贈与は遺言で明確に、囲い込みの恐れがある場合は県外相続人が生前から確認・対策することが重要です。

    相続の紛争は、制度だけでなく家族関係や地域事情によって複雑化することが少なくありません。早い段階で専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

    当事務所は、高知県で相続問題に注力して取り組んでおります。

    特別受益に関するご相談は当事務所にご相談ください。