遺産分割協議とは? 協議の方法やもめてしまった場合の対処について弁護士が解説
目次
遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、相続人全員で、亡くなった方(被相続人)の遺産を「誰が」「何を」「どのように」取得するのかを話し合って決める手続きのことです。
遺産分割協議が必要なケース
遺産分割協議は、主に以下のケースで必要となります。
相続人が2人以上いる
有効な遺言書がない(または、相続人全員の合意で遺言書と異なる分割をする)
反対に、相続人が1人しかいない場合や、有効な遺言書の内容に従って遺産を分ける場合には、遺産分割協議を行う必要はありません。
遺産分割協議のメリット
遺産分割協議のメリットは、相続人全員の話し合いによって合意を目指すため、それぞれの納得感を得やすい点にあります。
遺産分割協議をしない場合のリスク
遺産分割協議を行わないと、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
遺産を処分できないリスク
協議が終わるまで遺産は相続人全員の共有状態となり、売却などの処分には全員の同意が必要です。そのため、最適なタイミングを逃し、遺産の価値が下がってしまう可能性があります。
相続関係が複雑になるリスク
協議をしないまま相続人の誰かが亡くなると、さらにその相続が発生します(数次相続)。関係者が増え、手続きが複雑化したり、トラブルに発展したりするリスクが高まります。
各種手続きの期限に間に合わなくなるリスク
相続税の申告(相続開始後10ヶ月以内)など、期限が定められた手続きがあります。遺産分割が終わっていないと、これらの手続きが期限内に完了できない可能性があります。
特別受益や寄与分の主張ができなくなるリスク
民法改正により、相続開始から10年が経過すると、原則として特別受益(生前の特別な援助)や寄与分(財産の維持・増加への貢献)の主張ができなくなりました。これらの主張を検討している場合は、10年以内に協議を行う必要があります。
遺産分割協議の参加者
遺産分割協議には、相続人全員が参加し、合意する必要があります。
相続人とは、民法で定められた遺産を相続できる人のことです。
協議を始める前には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を取り寄せ、相続人が誰であるかを正確に確定させることが非常に重要です。
この調査が不十分で、後から新たな相続人が判明した場合、すでに行った遺産分割協議が無効になってしまうリスクがあります。
遺産分割協議の進め方
遺産分割協議は、一般的に次の流れで進めます。
相続人の確定
戸籍謄本等をもとに相続関係を調査し、相続人を確定させます。
相続財産の調査
不動産、預貯金、株式などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含め、相続の対象となる遺産をすべて洗い出します。
財産の評価
公平な分割のために、調査した遺産を金銭的に評価します。特に不動産や非上場株式などは評価が難しいため、専門家の関与が必要になることが多いです。
遺産の分け方についての話し合い
相続人全員で遺産の分け方を話し合います。法律で定められた「法定相続分」を目安にしつつ、全員が納得できる着地点を探ることが大切です。対面だけでなく、メールや電話、オンラインでの話し合いも可能です。
遺産分割協議書の作成
協議が成立したら、その内容を「遺産分割協議書」として書面に残します。これは法的な義務ではありませんが、後のトラブルを防ぎ、不動産の名義変更や預貯金の解約といった相続手続きをスムーズに進めるために、作成することが強く推奨されます。
遺産分割協議でしてはいけないこと
相続人の調査を怠る
協議が無効になる最大の原因です。
遺産を一部の相続人が開示しない
他の相続人に不信感を与え、感情的な対立につながります。
遺産の調査が不十分
後から新たな遺産が見つかると、再度協議が必要になる場合があります。
遺産分割協議書に不備がある
手続きが進められず、作り直しに手間と時間がかかります。
遺産分割で揉めてしまったら
当事者間での話し合いがまとまらない場合は、以下のような方法があります。
弁護士に代理交渉を依頼する
法律の専門家である弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静な話し合いができる可能性が高まります。法的な根拠に基づき、公平な解決を目指します。
遺産分割調停を申し立てる
家庭裁判所で、調停委員を介して話し合いを進める手続きです。
遺産分割審判に移行する
調停でも合意に至らない場合、最終的には裁判官が遺産の分け方を決定します。
遺産分割を弁護士に依頼するメリット
遺産分割に関するお悩みを弁護士に依頼することで、多くのメリットが期待できます。
専門知識で手続きをスムーズに
複雑な相続手続きをミスなく円滑に進めることができます。
時間や労力の節約
煩雑な手続きや交渉を任せることで、精神的・時間的な負担を大幅に軽減できます。
冷静な話し合いの促進
第三者である弁護士が介入することで、感情的な対立を避け、建設的な話し合いがしやすくなります。
公平で有利な解決の実現
法的な根拠に基づいた適切な主張・反論により、ご依頼者様の正当な権利を守り、納得のいく解決を目指します。
遺産分割のお悩みは当事務所にご相談ください
相続に関する手続きやトラブルは、誰にでも起こりうる問題です。当事務所では、相続問題に注力して取り組んでおり、相続でお悩みの皆様にスピーディーに対応させていただいておりまる。
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