遺産分割の話し合いでよくあるトラブルとその対処法について弁護士が解説
相続が発生した際、相続人間で遺産について話し合いを行う必要があります。それが「遺産分割協議」です。
しかし、感情的な対立や財産の評価方法の違いなどから、トラブルに発展するケースは少なくありません。
本記事では、遺産分割協議の基本的な流れから、よくあるトラブル事例とその対処法、そして円満に解決するためのポイントについて、弁護士が解説します。
目次
遺産分割の話し合い(協議)とは?
遺産分割協議とは、相続人が複数いる場合に、相続人の全員で「亡くなった方(被相続人)の財産を誰が・どれだけ取得するか」を話し合う手続きのことです。
この協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。
対象となる財産には、不動産や預貯金だけでなく、株式、車、貴金属の「プラスの財産」だけでなく、借金などの「マイナスの財産」も含まれます。
【遺産分割協議の基本的な流れ】
相続人の確定
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を集め、誰が相続人になるかを法的に確定させます。
相続財産の調査と評価
預貯金や不動産などのプラス財産に加え、借金などのマイナスの財産も調査します。そして、不動産や株などは現在の価値(評価額)を算出し、金額の算定を行います。
遺産分割協議の開始
相続人全員で、具体的な分配方法を話し合います。
遺産分割協議書の作成
合意した内容を書面にし、全員が署名・実印の押印を行います。
名義変更などの手続き
遺産分割協議書に基づき、不動産登記や預貯金の解約・名義変更を行います。
よくあるトラブル事例と対処法
遺産分割協議では、様々な理由で話し合い進まず、トラブルに発展することがあります。
ここでは代表的なトラブル事例と、その対処法をご紹介します。
連絡がつかない相続人がいる
遠方に住んでいる、疎遠であるなどの理由で、連絡を無視されたり、話し合いに参加してくれなかったりするケースです。
【対処法】
まずは手紙などで遺産分割の必要性を伝え、参加を呼びかけます。
それでも応じない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることを検討します。
裁判所から通知が届くことで、事態の重要性を認識させることができます。
ただし、住所が分からないというケースであれば、裁判所からできる限り探すように求められることがあります。
意見が真っ向から対立している
「誰が何をもらうか」で意見が割れたり、過去の確執から感情的になったりすることで、話し合いが決裂するケースです。
【対処法】
感情的な対立を防ぐため、まずは冷静にお互いの意見を聞く姿勢が重要です。
当事者同士で会うと揉める場合は、手紙やメールで伝える、あるいは中立的な親族などに間に入ってもらうことも検討しましょう。
それでも解決しない場合は、裁判所の調停や審判の手続きの利用を検討しましょう。
不動産など分配しにくい財産で揉めている
不動産(実家など)は現金のようにきれいに分割できないため、誰が取得するかで揉めるケースです。
また、「売りたい人」と「残したい人」の対立や、不動産の評価額についての意見の相違もトラブルの元です。
【対処法】
不動産そのものでの分割が難しい場合は、以下の方法を検討します。
• 換価分割(かんかぶんかつ): 不動産を売却し、現金を分ける方法。
• 代償分割(だいしょうぶんかつ): 一人が不動産を相続し、他の相続人に代償金(現金)を支払う方法。
評価額で揉める場合は、不動産鑑定士などの専門家に依頼し、客観的な評価額を算出してもらうことが解決の糸口になることがあります。
ただし、鑑定費用が発生しますので、一定程度高額な不動産の場合に検討すべきにはなります。
遺言書の内容に納得がいかない
遺言書の内容が、特定の人に有利すぎる内容で納得できないといったケースです。
【対処法】
遺言によって、偏った相続分を指定されている場合、「遺留分」という権利を利用し、最低限の相続分を請求できます。しかし、相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、この権利はないため注意が必要です。
自分の取り分・貢献度が考慮されていない(寄与分・特別受益)
「長年親の介護をしていたのだから多くもらうべき(寄与分)」や、「兄だけ生前に多額の援助を受けていて不公平だ(特別受益)」といった主張により、対立が深まるケースです。
【対処法】
まずは主張の根拠となる資料(介護記録や送金記録など)を提示し、具体的に話し合います。しかし、「寄与分」や「特別受益」の法的な判断や計算は非常に複雑です。
当事者間での合意が難しい場合は、弁護士に相談し、法的な観点から見極めることが解決への近道です。
話し合いがまとまらない場合の進め方
当事者同士での話し合いがまとまらない場合、公的な解決手段へ移行します。
遺産分割調停
家庭裁判所において、中立の立場にある調停委員を交えて話し合います。調停委員が双方の意見を聞き、円満な合意を目指して調整を行います。
遺産分割審判
調停が不成立に終わった場合、自動的に審判手続きへ移行します。裁判官が双方の事情や証拠を考慮し、分割方法を決定します。
トラブルを未然に防ぐためのポイント
相続の発生後にトラブルに、事前の準備が鍵となります。
• 遺言書を作成する:特に不動産がある場合や、特定の財産を特定の人に渡したい場合は、遺言書(できれば公正証書遺言)を作成することが必要不可欠です。
• 感情的にならない:相続は「争族」とも言われるほど感情的になりやすいものです。常に冷静さを保つことが、早期解決につながります。
遺産分割協議を弁護士に依頼するメリット
「話し合いが進まない」「相手が無理な主張をしてくる」など、少しでも不安を感じたら、早めに弁護士にご相談ください。
• 精神的負担の軽減:弁護士が代理人として相手方と交渉するため、直接やり取りをするストレスから解放されます。
• 法的リスクの回避:複雑な手続きや書類作成を任せることで、将来のトラブルを防ぎます。
• 調停・審判のサポート:万が一、裁判所での手続きになった場合も、代理人として全面的にサポートします。
専門家が間に入ることで、感情的な対立が整理され、スムーズに解決へ向かうケースは非常に多いです。
遺産分割のお悩みは当事務所にご相談ください
相続に関するご不明点や、ご親族間でのトラブルへの不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
初回相談は無料です。 複雑な手続きや、誰にも言えない不安についてもお客様お一人おひとりの状況に合わせた適切なアドバイスをご提供いたします。
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