相手方に弁護士がついた
目次
弁護士から通知が来た場合
相続が発生すると、突然弁護士から手紙や通知書が届くことがあります。
こうした通知が届き、驚いてしまう人も少なくありません。
また、通知書に遺産分割協議書が同封されており、内容がよくわかっていないのにサインをしてしまうということもあります。
本稿では、弁護士から遺産相続に関する手紙や通知が届いた際の注意点、適切な対応方法について解説します。
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他の相続人が弁護士に依頼した理由を考える
弁護士から相続に関する手紙や通知書が届いた場合、他の相続人の一人が弁護士に依頼したということです。
弁護士に依頼したのには何かしらの理由があります。
相続人間の意見が分かれる場合や財産分割が煩雑な場合には、弁護士に依頼して進めることが増えますが、理由はそれだけではありません。
まずはどのような理由で依頼したのか考えることが大事です。
円満な協議のために弁護士に依頼しただけというケースもあるので、あまり警戒しすぎる必要もありませんが、弁護士は、相続人全員ではなく、依頼した相続人の利益のために行動します。そのため、分割案が示された場合は、少なくとも正当な分割案を示しているかを検討すべきです。
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弁護士からの手紙が届いた場合に注意する点
弁護士からの通知が届いた場合、その相続人と直接的に交渉を行うことができなくなります。
多くの場合は、通知書に「直接交渉をしないでください」との文言があります。
仮に、直接相続人に連絡しても、「弁護士に連絡してください」と言われてしまうことになります。そのため、弁護士から通知が来た場合は、今後の交渉は弁護士と行うことになります。
そして、通知書と一緒に遺産分割協議書が同封されているケースもあります。
しかし、このような場合は特に注意が必要です。内容がよく分かっていなかったとしても、署名・押印をしてしまうと、原則的に撤回ができません。安易な署名・押印は避けるべきです。また、内容が分からない場合は、通知書を送ってきた弁護士に連絡して内容を聞いてみるという方法もあります。
なお、弁護士が作成した遺産分割協議書であっても、依頼者である相続人に有利な内容となっているだけで、他の相続人が主張できることを考慮せずに作成されている可能性もあります。一度署名・押印してしまうと、後から内容を覆すことが難しいので、遺産分割協議書が同封されている場合は慎重に内容を検討するとともに、弁護士に相談することも考えてみると良いでしょう。
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弁護士からの手紙が届いたときに取るべき行動
通知書に遺産に関する具体的な資料(相続人関係図や遺産目録など)が同封されていない場合は、これらの資料の開示を求めましょう。資料がなければ、内容を判断するのが難しいからです。
そして、遺産に関する詳細が開示されるまでは、遺産分割協議書への署名・押印は控えることが望ましいです。
また、遺産分割では、法定相続分に応じて分割するのが基本ですが、相続人の中に特別受益や寄与分がある場合には、特別受益を考慮した公平な遺産分割が求められます。
もっとも、特別受益や寄与分は、具体的に主張を行う必要があります。逆に、相手方となる弁護士が自ら指摘しなくてはならない義務はありません。そのため、特別受益や寄与分の具体的な主張を行わなければ、これらの利益が受けられる相続人に不利になることがあります。そのため、特別受益や寄与分がないかを確認する作業は、適切な遺産分割協議に必要となります。
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弁護士を依頼することのメリット
相続手続きにおいて、他の相続人が弁護士を立てた場合は、自身も弁護士に依頼することを検討しても良いと思います。
弁護士に依頼することで、相手の弁護士との対応をすべて任せることができます。弁護士が依頼者の代理人として、適切な主張をしてくれるため、相手方の主張に対しても法的な反論ができます。
また、相手方の弁護士に任せきりにしていると、偏った内容の遺産分割協議書が作成されてしまうこともあります。不利益が分かったうえで合意するなら別ですが、不利なことすら分からずに合意してしまうということもあります。もっとも、弁護士に委任していれば、基本的にそのようなことはありません。
そして、遺産相続の話し合いが感情的なやり取りに終始すると、スムーズな解決が難しくなりますが、弁護士同士の話し合いであれば、必要事項のみについて協議が行われ、迅速な解決が期待できます。
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まとめ
相続が発生し、弁護士から遺産相続に関する手紙や通知書が届いた場合は、冷静に対応することが大切です。まずは内容を確認し、直接相続人と交渉を行わないよう注意します。また、通知書に応じて適切な対応を行い、必要に応じて弁護士に相談することで、公平でスムーズな遺産分割を目指しましょう。手続きに関する不安や疑問がある場合は、気軽に弁護士へ相談することをお勧めします。