収益不動産の遺産分割協議でお困りの方へ
収益不動産の遺産分割協議は、多くの相続案件の中でも特に複雑になりやすい問題の一つです。
不動産は金銭的に大きな価値を持つだけでなく、家族の思い入れも関係するため、家族間で意見の対立が生じることが少なくありません。
特に収益不動産の場合、誰が管理し、収益をどう分配するのかが争点となりやすく、対立が深刻化することもあります。
例えば、父親が亡くなり、賃貸マンションを兄弟3人で相続することになったケースを考えてみましょう。長男は賃貸マンションを維持して将来的な収益を得たいと考えていましたが、次男は現金化して自分のビジネスに投資したいと考えていました。一方で、三男は家族の思い出が詰まった不動産を手放したくありませんでした。このように、収益不動産の相続は感情と金銭的な利益が絡み合い、家族間で深刻な対立を引き起こすことがよくあります。
目次
収益不動産の相続でよくある問題
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1 評価額の違い
不動産の評価には複数の方法があり、専門家によって評価額が異なることがあります。そのため、評価額が争点となり、適正な分配が難しくなるケースがあります。
例えば、長男が依頼した不動産鑑定士は賃貸マンションの評価額を1億円とした一方で、次男が依頼した別の専門家は8000万円と評価しました。この評価額の差が分割をめぐる対立の原因となります。
2 収益の配分
賃貸収益をどう分配するか、また将来的に誰が管理を担当するかが問題になることが多いです。管理の手間を誰が引き受けるかによっても、不満が生まれることがあります。
例えば、長男がマンションの管理を引き受ける代わりに収益の多くを得たいと提案しましたが、次男と三男はその提案に納得できないとうケースもあります。このような意見が対立するということもよくあります。
3 売却か保持かの対立
ある相続人は不動産を売却して現金化したいと考えている一方で、他の相続人はそのまま保持したいと考えることがあります。このような意見の違いが解決を難しくします。
たとえば、次男はビジネスへの投資資金が必要であり、不動産を売却して現金化することを強く望んでいましたが、三男は「父親が築いた資産を守りたい」として保持を主張しました。こうした対立が長引くと、相続全体が停滞するリスクがあります。
弁護士の役割と解決の手段
収益不動産の遺産分割協議で揉めている場合、専門家のサポートが重要です。弁護士は次のような方法で協議の進展をサポートします。
1 公正な評価と交渉
弁護士は不動産鑑定士などの専門家を交えて、不動産の公正な評価を基に相続人全員が納得できる解決策を模索することが可能です。不動産鑑定士と共同し、鑑定の根拠を文書化するなどして、鑑定の正当性を適正に評価し、争うだけでなく、納得のいく解決を目指すことも可能です。
2 遺産分割調停のサポート
裁判所の調停を利用して、公平な第三者の仲介の下で協議を進めることが可能です。弁護士が代理人となり、冷静で効果的な話し合いを支援することが可能です。特に、評価額での争いが解決しない場合は、調停を行う必要があることが多いです。
調停では、第三者の調停委員が相続人間の意見を調整してくれます。ただ、話し合いである調停でも適切な資料を提出することは大事です。根拠のある鑑定書を提示し、弁護士が適正な意見を主張することが解決には大切になってきます。
3 遺言書の活用
生前対策として遺言書の作成が有効です。遺言書によって収益不動産をどう相続させるか決めておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
収益不動産の相続でトラブルを生じさせないためには、一番遺言の活用が有効といえると思います。
収益不動産相続の円満解決を目指して
収益不動産の遺産分割協議は時間と労力がかかりますが、適切な法的サポートがあれば、円満に解決することも十分に可能です。家族間の関係を守りつつ、全員にとって納得のいく結果を目指すために、まずは専門の弁護士に相談してみてください。
当事務所では、相続に関する豊富な経験を持つ弁護士が、あなたのサポートをいたします。お気軽にご相談ください。