共有名義の不動産、共有者が死亡したらどうなる?放置するリスクと注意点について高知の弁護士が解説
高知県においても、親子や兄弟で共有している実家や土地は珍しくありません。
その共有の不動産の共有者の一人が亡くなった際、「そのまま住み続けていれば大丈夫」と思い込んでいる方が多くいらっしゃいます。
しかし、これは大きな誤解であり、その後のトラブルを招くことがあります。
「残された共有者が自動的にすべてを引き継ぐ」「両親がお前が跡取りだと言っていた」「両親がお前が不動産を継げばいいと言っていた」などの事情から、自身のものとなって住み続けられると考えがちです。
しかし、実際にはそうではなく、遺産分割協議が必要です。
亡くなった方の持分は相続財産となり、法律で定められた相続人が引き継ぐのが原則となるからです。
また、共有名義は複数人が所有権を持つため、権利が複雑に絡み合った状態にあります。
相続手続きを放置すると、将来の親族間トラブルの火種になりかねません。
次の相続が発生して共有者がさらに増えると、売却や活用がいっそう困難になってしまいます。
特に、何代にもあたって名義変更ができていない場合は、かなりの数の相続人と協議をする必要になることもあります。
目次
共有者が死亡した場合、相続人は誰になるのか
共有名義人のひとりが亡くなった場合、その持分は原則として、亡くなった方の法定相続人が相続します。
夫婦・親子間の場合
夫婦で共有名義にしている自宅などで、どちらかが亡くなった場合、お子様がいれば配偶者と子どもが相続人になります。
しかし、お子様がいない場合は、亡くなった方の親や兄弟姉妹が相続人となるため、思わぬ親族と不動産を共有することになる可能性があります。
特に再婚であった場合や配偶者に婚姻前に子供がいた場合などは、親交のなかった相続人との共有になる可能性があります。
兄弟姉妹間で共有している場合
兄弟姉妹で不動産を共有していて片方が亡くなった場合、亡くなった兄弟の配偶者や子どもなどの法定相続人が持分を引き継ぎます。
これにより、元々の共有者である兄弟だけでなく、その家族が共有関係に加わることになり、意見の対立などトラブルが発生しやすくなります。
法定相続人がいない場合
亡くなった方に法定相続人も特別縁故者もいない場合、最終的にその持分は他の共有者に帰属します(民法255条)。
ただし、持分が自動的に移転するわけではなく、家庭裁判所による相続財産清算人の選任や債権者への支払いといった清算手続きを経る必要があります。
共有名義の相続を放置するリスク
相続手続きを放置すると、将来的に相続人がどんどん増え、いざ売却や賃貸をしようとしても全員の同意を得ることが極めて困難になります。
さらに、2024年4月からは相続登記が義務化されており、「相続の開始」と「自身がその不動産の所有権を取得したこと」を知った日から3年以内に申請を行わないと、最大10万円の過料が科されるリスクがあります。
共有名義の具体的なケースと注意点
夫婦共有名義の自宅
夫婦でペアローンを組んで自宅を共有名義にしているケースです。住宅ローンが残っている場合は、亡くなった方が「団体信用保険(団信)」に加入していなかったかを確認しましょう。
加入していれば、残りの債務の支払いは免除されます。
先代から続く山林・農地の共有
親や先代が亡くなった際に、兄弟間で共有名義のまま相続してしまったケースです。
世代が下るにつれて権利関係が複雑化し、誰が管理や修繕を行うか、費用をどう負担するかをめぐるトラブルが頻発します。
空き家となった実家
誰も住まなくなった空き家であっても、共有名義のままではひとりの独断で活用することはできません。
売却や解体をするには「共有者全員の同意」が必要であり、第三者へ賃貸するなどの管理行為についても原則として「持分の過半数の賛成」が求められます。
意見がまとまらなければ放置され、活用できないまま固定資産税などの維持費だけを支払い続けることになります。
共有名義不動産の相続におけるトラブル回避法
将来のトラブルを防ぐためには、以下のような生前対策や遺産分割の工夫が有効です。
遺言書の作成
遺言書で「特定の相続人に持分を単独で相続させる」と指定することが最も簡明な解決方法です。
これにより、不動産の所有権が特定の相続人に帰属することになり、無用な紛争を避けることができます。
生前贈与
生きている間に共有持分を特定の相続人に贈与しておく方法です。
遺産分割の工夫(代償分割・現物分割など)
その際、不動産を取得した人が自身の自己資金から他の相続人に代償金を支払って清算する「代償分割」や、不動産を取得する代わりに遺産の中の預貯金は他の相続人に譲る「現物分割」といった方法を活用します。
よくあるご質問
Q.相続した共有不動産について、自分の持分のみを売却したい
ご自身の共有持分だけであれば、他の共有者の同意がなくてもご自身の判断のみで第三者へ売却することが可能です。
ただし、共有持分だけを購入する一般の買い手はほとんどいないのが通常です。
近年では、専門業者なども出てきましたが、その場合の売却価格は、低い金額になる傾向があるようです。
Q.共有名義の不動産を相続放棄するとどうなるのか
相続放棄を行うと、共有不動産の持分だけでなく、預貯金など亡くなった方のすべての遺産を相続する権利を失います。
放棄した場合、他に相続人がいればその方が持分を引き継ぎます。
ぜひ弁護士にご相談ください
共有名義の不動産は、相続において権利関係が複雑化しやすく、最もトラブルになりやすい財産のひとつです。
相続人や財産の確実な調査、遺産分割協議での交渉、相続登記などの法的手続きには専門的な知識が求められます。
親族間での無用な争いを避け、スムーズかつ確実に手続きを進めるためにも、ぜひ相続問題に詳しい弁護士にご相談ください。



