遺言書とは?特徴や作成方法、メリットについて弁護士が解説!
遺言書は、本人が亡くなった後、誰にどの財産をどのように渡すかを決めておく、とても大切な文書です。この記事では、遺言書とは何か、種類や作り方、メリット、無効になる場合、弁護士に頼む利点などを、弁護士が分かりやすく解説します。
遺言書って何?
遺言とは、亡くなった人(被相続人)が、生前に「死後、自分の財産をどう分けるか」という最後の意思を示すことです。その意思を書面にしたものが「遺言書」です。遺言書があることによって、その内容通りに遺産が分けられます。また遺言書には3つの方式があり、その方式は民法によって厳格に定められています。
遺言書の種類:3つのタイプ
遺言書には、主に3つの種類があります。それぞれに良い点と悪い点があります。
目次
- 1 自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
- 2 公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)
- 3 秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)
- 4 検認の目的
- 5 相続でのトラブルを防ぐ
- 6 法律で決まっている人以外にも財産を渡せる
- 7 事業をスムーズに引き継がせる
- 8 特定の人に多く財産を渡したい場合
- 9 相続の手続きが簡単になる
- 10 法律のルールをきちんと理解して、守ること
- 11 遺言を書く能力がある状態で書くこと
- 12 内容を分かりやすく具体的に書くこと
- 13 公正証書遺言を使うこと
- 14 遺言執行者(遺言内容を実現する責任者)を決めておくこと
- 15 法的に有効な遺言書を作れる
- 16 複雑な相続や財産にも対応できる
- 17 相続の手続きがスムーズに進む
- 18 トラブルを防ぎ、精神的な負担を減らせる
自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
遺言者が、全て自分で書いて、日付と名前を書き、押印する方法です。
良い点
手軽に作れて、お金もかかりません。
悪い点
書き方に間違いがあると無効になることがあります。また、紛失したり、書き換えられたりする心配もあります。家庭裁判所の検認(チェック)が必要です。
公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)
公証役場という場所で、公証人という法律の専門家の前で、遺言の内容を伝え、公証人が代わりに書いてくれる方法です。証人2人の立ち会いも必要です。
良い点
公証人が作るので、間違いが少なく、法的にも安心です。原本は公証役場に保管されるので、紛失したり書き換えられたりする心配もありません。検認は不要です。
悪い点
作るのに手間とお金(公証人への手数料)がかかります。
秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)
遺言の内容を秘密にしたまま、遺言書があることだけを公証人に証明してもらう方法です。遺言書自体は自分で作ります。家庭裁判所の検認が必要です。
良い点
内容を誰にも知られずに作れます。
悪い点
書き方に間違いがあると無効になる可能性があり、内容の有効性は保証されません。実際にはあまり使われていません。
家庭裁判所の検認とは?
検認(けんにん)とは、簡単に言うと、自筆証書遺言や秘密証書遺言の内容を家庭裁判所で確認する手続きのことです。遺言書の偽造や変造を防ぎ、その内容を明確にするために行われます。公正証書遺言の場合、検認は不要です。
検認の目的
検認の主な目的は以下の2点です。
遺言書の現状保全
遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などを確認し、検認の日現在の状態を明確に記録することで、後日の偽造・変造を防止します。
相続人への遺言内容の告知
相続人に対して遺言の存在とその内容を知らせます。
なぜ遺言書が必要なの?どんな良いことがあるの?
遺言書を作る主な理由は以下のとおりです。
相続でのトラブルを防ぐ
遺産の分け方を決めておくことで、相続する人たちの間で争いが起きるのを防ぎます。
法律で決まっている人以外にも財産を渡せる
例えば、内縁の妻や、お世話になった人、寄付団体などに財産を渡すことができます。
事業をスムーズに引き継がせる
後継者に確実に事業を引き継がせることができます。
特定の人に多く財産を渡したい場合
特別にお世話になった人などに、感謝の気持ちを込めて多く財産を渡したい場合に役立ちます。
相続の手続きが簡単になる
特に公正証書遺言は検認が不要なので、相続の手続きがスムーズになります。
遺言書の作成方法
遺言書の作り方は、種類によって違います。
自筆証書遺言
紙とペンを用意して、以下のルールを守って書きます。
全て自分で書く。(パソコンや代筆は不可)。
作成した年月日を正確に書く。(「令和五年X月吉日」のような書き方は無効)。
自分自身で署名押印をする。(認印でも可)。
※自筆証書遺言を訂正する場合は、法律で決められた方法で行う。
公正証書遺言
以下の手順で作ります。
公証役場に電話して、必要な書類(戸籍謄本、印鑑証明書、財産目録など)を確認する。
遺言の内容をまとめて、公証人に伝える。
公証人が遺言書の案を作る。
証人2人と公証役場に行き、遺言書の内容を確認して、署名と押印をする。
※公証人が公正証書遺言の原本とコピーを作り、原本は公証役場で保管される。
遺言が無効になる場合
以下のような場合は、遺言が無効になることがあります。
書き方のルールを守っていない
自筆証書遺言において上記のルールを守っていない場合。
遺言を書く能力がない
遺言を書いた時に、判断能力がなかった場合(認知症など)。
内容がはっきりしない
遺言の内容が曖昧で、誰に何を渡すのかが分からない場合。
法律や社会のルールに反する内容
犯罪を助長するような内容など。
無理やり書かされたり、騙されて書かされたりした場合: 他人から脅されたり、騙されたりして書かされた遺言。
遺言を有効にするためのポイント
遺言を有効にするためには、以下の点に注意が必要です。
法律のルールをきちんと理解して、守ること
特に自筆証書遺言は、書き方のルールをしっかり守る必要があります。
遺言を書く能力がある状態で書くこと
必要に応じて、医者の診断書などをもらっておくと良いでしょう。
内容を分かりやすく具体的に書くこと
誰に何をどのように渡すのかを、はっきりと書きましょう。財産の種類や量、不動産の場所などを具体的に書きます。
公正証書遺言を使うこと
法的に最も安全で確実な方法です。
遺言執行者(遺言内容を実現する責任者)を決めておくこと
遺言書の内容によっては遺言執行者が必要となることもあるので、遺言書内に遺言執行者(未成年者・破産者不可)を指名しておくとよいでしょう。
遺言書を作るのを弁護士に頼むメリット
弁護士に遺言書作りを頼むと、以下のような良いことがあります。
法的に有効な遺言書を作れる
書き方の間違いで無効になる心配がありません。
複雑な相続や財産にも対応できる
相続人がたくさんいる場合や、財産の種類が多い場合でも、適切な遺言書を作れます。
相続の手続きがスムーズに進む
相続が起きた後の遺言の実行手続きなどもサポートしてもらえます。
トラブルを防ぎ、精神的な負担を減らせる
法的なアドバイスを受けることで、将来の相続トラブルを防ぎ、精神的な負担を減らせます。
遺言書について困ったことがあれば、当事務所にご相談ください!
当事務所では、遺言書作りに関する最初の相談を無料でお受けしています。遺言書を作るのに困っている方は、お気軽にご相談ください。弁護士がお客様の状況を丁寧に聞いて、最適な解決策をご提案します。
当事務所にご相談いただくと、以下のようなサポートが可能です。
遺言書作り全般のアドバイス
遺言書の原案作成
公証役場との連携(公正証書遺言の場合)
相続発生後のサポート
遺言書は、大切な財産を確実に引き継ぐための大切な手段です。ぜひお気軽にご相談ください。