遠く離れた家族との相続、どうすればいい?弁護士が徹底解説
大切な家族が亡くなった時、遺された家族の間で遺産をどのように分けるかを決めるのが相続手続きです。しかし、相続人がそれぞれ遠く離れた場所に住んでいる場合、手続きは複雑になり、様々な問題が発生しやすくなります。「実家は遠方だし、兄弟も各地に散らばっているから、相続手続きがどうなるか不安…」と感じている方もいるかもしれません。この記事では、相続人がバラバラに住んでいる場合に起こる具体的な問題点と、その解決策について、弁護士が分かりやすく解説します。
相続人がバラバラに住んでいると、どんな問題が起こる?
例えば高知県の実家に住む母親(被相続人)が亡くなり、父親は被相続人とともに高知県に住んでいるが、その子らは遠方に住んでいるというある家族を例に実際に起こりうる問題点を詳しく見ていきましょう。
目次
連絡がなかなか取れない
例えば、長男は東京、次男は大阪、長女は福岡と、兄弟姉妹がそれぞれ遠隔地に住んでいるとします。特に次男は仕事が忙しく、電話に出ることも、メールに返信することも稀です。このような場合、相続手続きを進めるための連絡調整が非常に困難になります。「遺産分割協議をしたいのに、次男と連絡が取れない」「重要な書類を送ったのに、次男から返信がない」といった状況が続くと、手続きは一向に進みません。
手続きの方法がよく分からない
相続手続きは、戸籍謄本の取得、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更、預貯金の解約など、多くの手続きが必要です。例えば相続財産の中に高知県の実家の不動産が含まれている場合、その名義変更手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行う必要があります。東京に住んでいる長男が、高知県の法務局まで出向くのは大変です。「法務局にはどんな書類を持っていけばいいのか」「そもそも、法務局はどこにあるのか」といった基本的な情報すら分からず、手続きに戸惑ってしまうこともあります。
話し合いがなかなか進まない
遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。遠方に住んでいると、一同に集まって話し合う機会を設けるのが難しく、電話やメールでのやり取りだけでは、顔が見えない分、意思疎通がうまくいかないことがあります。例えば、長男は「実家を売却して現金で分けたい」と考えているのに対し、長女は「思い出の詰まった実家は残したい」と考えているとします。直接顔を合わせて話し合えば、お互いの気持ちを理解し合えるかもしれませんが、電話やメールだけでは、意見の対立が深まり、話し合いが平行線になってしまうことがあります。
感情的な対立が生まれやすい
直接顔を合わせて話せない分、言葉のニュアンスが伝わりにくく、誤解が生じやすくなります。また、遺産分割というデリケートな問題を扱うため、相続人間で感情的な対立が起こりやすく、話し合いがこじれてしまうことがあります。例えば、昔から兄弟姉妹の折り合いが悪かった場合、遺産分割の話を持ち出すこと自体が、大きなストレスになることがあります。「昔のことでまだ根に持っているのか」「遺産のことになると態度が変わる」といった感情が、話し合いをさらに難しくしてしまうことがあります。
相続人が離れていても、相続手続きはできる?
ご安心ください。相続人同士が離れていても、相続手続きはきちんと行うことができます。現代では、郵送での書類のやり取り、電話やオンライン会議システム(Zoomなど)を利用した話し合いなど、直接会わなくても手続きを進める方法はたくさんあります。
相続人が離れている場合の相続手続きの流れ
相続人が離れている場合でも、基本的な相続の流れは変わりませんが、遠隔地であることを考慮した対応が必要になります。
相続人の確定
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本などを集め、誰が相続人になるのかを確定します。遠方に住んでいる場合でも、郵送で戸籍謄本を請求することができます。
遺産の調査
不動産(登記簿謄本を取得)、預貯金(金融機関に問い合わせ)、株式、有価証券など、どのような遺産がどれくらいあるのかを調査します。
遺産分割協議
相続人全員で、誰がどの遺産を相続するのかを話し合います。遠方に住んでいる場合は、電話、メール、オンライン会議システムなどを活用して協議を行います。議事録を作成しておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議で合意した内容を記載した書面(遺産分割協議書)を作成します。相続人全員が署名・捺印する必要があり、郵送でやり取りを行います。印鑑証明書も添付する必要があります。
相続手続きの実行
遺産分割協議書に基づいて、不動産の名義変更(法務局)、預貯金の解約(金融機関)、株式の名義変更(証券会社)などの手続きを行います。
相続人がバラバラの場合、弁護士に依頼するメリットは?
相続人がバラバラに住んでいる場合こそ、弁護士に依頼するメリットは大きくなります。
煩雑な手続きをすべて代行
弁護士は、戸籍謄本の収集から遺産分割協議書の作成、各種名義変更手続きまで、煩雑な手続きをすべて代行します。相続人は、戸籍謄本を郵送で請求する方法を調べたり、法務局や金融機関に何度も問い合わせたりする手間を省くことができます。
相続人同士の連絡調整がスムーズに
弁護士が中立的な立場で相続人同士の連絡調整を行うことで、コミュニケーション不足によるトラブルを防ぎ、スムーズな話し合いを促進します。特に、連絡が取りにくい相続人がいる場合、弁護士が間に入ることで、円滑なコミュニケーションを図ることができます。
遺産分割協議が円滑に
弁護士は、法的知識に基づいた適切なアドバイスを行い、遺産分割協議が円滑に進むようにサポートします。感情的な対立がある場合でも、冷静な話し合いを促し、紛争を予防・解決することができます。例えば、「特別受益(被相続人からの遺贈や生前贈与を受けた相続人の利益)」といった法律用語の説明や、具体的な事例に基づいたアドバイスを行うことで、相続人全員が納得できる解決策を見つけることができます。
遠方の家族との相続問題は、当事務所にご相談ください
相続人がバラバラに住んでいる場合、手続きが複雑になるのは事実です。しかし、適切な方法で手続きを進めることは可能です。弁護士に依頼することで、煩雑な手続きをスムーズに進め、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。当事務所では、遠方の家族との相続問題についても、豊富な経験と実績を有しています。相続手続きに関するご不明な点やご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。